沖縄のジュゴンの概要ジュゴンとは?
ジュゴンと定置網:定置網の問題点とは?
おはようございます。
本日はジュゴンと「定置網」について書いてみようと思います。
各種文献を読み解いていくと、「ジュゴンの主な死亡原因=定置網」とされている記述が多々あるためです。
定置網外略図(一般的な定置網)
海人の皆さんには耳の痛い話になってしまうのかもしれませんが、「定置網は問題だ!」ということではなくて、漁業とジュゴンがどう共生していくかについて、疑問に感じた考察となっています。
先に書いておきますと、ジュゴン保護繁殖は国や県が動けばよいということではなくて、漁業者の協力なしで実現することは無理だと思っています。
沖縄県文化環境部環境保護課作成「ジュゴンのはなし」というパンフレットがあります。
●資料へのリンク:http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/kankyo/shizenryokuka/hogo/dugong_no_hanasi.html
小学校高学年あたりから読めるような優しい構成になっていますが、私はこのパンフレットについて複数の疑問を持っています。
たとえば、平成20年発行なのに最小個体数の明示がない(詳しい頭数が不明)となっていたり、藻場を示す図面が雑だったりすることです。
また、「定置網にかかったジュゴンが窒息して死んでしまう」旨明記されているのも、このパンフレットでもあります。
学者さんや専門家の中にも「定置網が悪い」としていることが多くて、たとえば基地がらみで活動している専門家も「金武湾は以前4頭のジュゴンが確認されたが、定置網が多く、ジュゴンが住める場所ではなくなった」などと説明していました。
「ジュゴンのはなし」より。沖縄におけるジュゴン座礁・混獲記録
定置網とジュゴンとの関係について記事を書いたところ、漁業関係者(魚網関係者)の方から複数、「定置網の構造上、窒息する要因がないのでは?」「定置網はゆりかごのようになっていて、弱ったジュゴンが体を休めるのではないか」などの情報が寄せられたのです。
なるほど納得、と思いました。
定置網とジュゴンとの関係について、十分に調べられていないというか検討されていないのでは。
そう考えるようになったのです。
(定置網にてジュゴンの死体が発見されたことはあっても、そのメカニズムが解明された資料がありません。)
そもそも定置網とはどういうものなのか。
沖縄における定置網の構造についてすぐに探せる資料がなかたので、一般的な定置網の概略図を示します。
ざっくり言うと、大きな迷路のような網をしかけて、魚やアオリイカなどのイカ類を迷い込ませて獲るというものです。
なお、沖縄においては定置網漁業権で運用される「大型定置網」と、共同漁業権で運用される「小型定置網(通称アンブシ)」があります。
大型定置網は有る程度深い海域に、小型定置網はリーフの切れ目(クチ)に設置されるものです。
どちらの定置網にもジュゴンが掛かった記録があります。
魚網関係者の方より指摘された「窒息する要因がない」という点については、たとえば箱網に入る箇所がどうなっているのかなど、現物や漁の様子を見学するなどしてもっと調べてみる必要があります。
最も不思議に思ったことは、魚網メーカーがジュゴンの定置網の羅網問題について知らない可能性があるということです。
漁業者は理解しているが、作っているメーカーがに伝わっていない。これでは、定置網に入ってしまったジュゴンの安全が確保できる対策(改良)が取れませんよね・・・
研究者の間では「定置網が悪い」「(漁業者が不幸にならない形での)定置網の停止を」などの主張もあります。
しかし、私は海に詳しい海人(漁業者)と協力して対策しないと、現実的にジュゴンの保護繁殖は無理であろうと思っています。
今年8月に発売された「ジュゴンの上手なつかまえ方」でも、漁業者とジュゴン保護とのジレンマについてのお話があります。
(網で死ぬメカニズム、また、海外では「網を壊す害獣」と言われる理由についても、参考になります。お勧め書籍です!)
●リンク:amazon「ジュゴンの上手なつかまえ方」
県パンフレット「ジュゴンのはなし」でも、ジュゴンレスキューマニュアルが記載されています。
これは県と既存のジュゴン保護団体との協力のうえで作られたとのことで、大変良い取り組みだと思います。
一方、「定置網でジュゴンが死ぬメカニズムの解明」とか、「定置網に入っても死なないような、定置網の改良」などをもっと検討する必要があると思うのです。
ジュゴン死なない構造の定置網なら、引き上げ時にジュゴンが入っていないか注意するとか、ジュゴンが入ってしまったならばジュゴンレスキューに基づいて逃がしてあげればいいだけの話です。
弱ったジュゴンが定置網に逃げ込んで、そこで命尽きるのかなど、はっきりすると思います。
ジュゴンの保護・繁殖対策を進めるうえでは、定置網漁業を含む漁業者との協力関係が確実に必要となります。
専門家や研究者、国や県、漁業関係者が集まって問題点を整理し、ジュゴンの保護繁殖を検討する機会を設けてほしいと思います。
ジュゴン保護・繁殖対策が飛躍的に前進する?!
●沖縄のジュゴンの保護・繁殖について
え?仲井眞氏がジュゴン繁殖を公約に??その真相とは
http://odsog.ti-da.net/e6904769.html
------------
ブログの管理も大変なので、コメントは付けられない設定になってしまっておりますが、何かありましたらフェイスブックページにてコメントをお寄せいただければと思います。
https://www.facebook.com/odsog
「重要なおねがい。」もあわせてご覧ください。
ご協力よろしくお願いいたします。
http://odsog.ti-da.net/e6893925.html
本日はジュゴンと「定置網」について書いてみようと思います。
各種文献を読み解いていくと、「ジュゴンの主な死亡原因=定置網」とされている記述が多々あるためです。
定置網外略図(一般的な定置網)
海人の皆さんには耳の痛い話になってしまうのかもしれませんが、「定置網は問題だ!」ということではなくて、漁業とジュゴンがどう共生していくかについて、疑問に感じた考察となっています。
先に書いておきますと、ジュゴン保護繁殖は国や県が動けばよいということではなくて、漁業者の協力なしで実現することは無理だと思っています。
沖縄県文化環境部環境保護課作成「ジュゴンのはなし」というパンフレットがあります。
●資料へのリンク:http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/kankyo/shizenryokuka/hogo/dugong_no_hanasi.html
小学校高学年あたりから読めるような優しい構成になっていますが、私はこのパンフレットについて複数の疑問を持っています。
たとえば、平成20年発行なのに最小個体数の明示がない(詳しい頭数が不明)となっていたり、藻場を示す図面が雑だったりすることです。
また、「定置網にかかったジュゴンが窒息して死んでしまう」旨明記されているのも、このパンフレットでもあります。
学者さんや専門家の中にも「定置網が悪い」としていることが多くて、たとえば基地がらみで活動している専門家も「金武湾は以前4頭のジュゴンが確認されたが、定置網が多く、ジュゴンが住める場所ではなくなった」などと説明していました。
「ジュゴンのはなし」より。沖縄におけるジュゴン座礁・混獲記録
定置網とジュゴンとの関係について記事を書いたところ、漁業関係者(魚網関係者)の方から複数、「定置網の構造上、窒息する要因がないのでは?」「定置網はゆりかごのようになっていて、弱ったジュゴンが体を休めるのではないか」などの情報が寄せられたのです。
なるほど納得、と思いました。
定置網とジュゴンとの関係について、十分に調べられていないというか検討されていないのでは。
そう考えるようになったのです。
(定置網にてジュゴンの死体が発見されたことはあっても、そのメカニズムが解明された資料がありません。)
そもそも定置網とはどういうものなのか。
沖縄における定置網の構造についてすぐに探せる資料がなかたので、一般的な定置網の概略図を示します。
ざっくり言うと、大きな迷路のような網をしかけて、魚やアオリイカなどのイカ類を迷い込ませて獲るというものです。
なお、沖縄においては定置網漁業権で運用される「大型定置網」と、共同漁業権で運用される「小型定置網(通称アンブシ)」があります。
大型定置網は有る程度深い海域に、小型定置網はリーフの切れ目(クチ)に設置されるものです。
どちらの定置網にもジュゴンが掛かった記録があります。
魚網関係者の方より指摘された「窒息する要因がない」という点については、たとえば箱網に入る箇所がどうなっているのかなど、現物や漁の様子を見学するなどしてもっと調べてみる必要があります。
最も不思議に思ったことは、魚網メーカーがジュゴンの定置網の羅網問題について知らない可能性があるということです。
漁業者は理解しているが、作っているメーカーがに伝わっていない。これでは、定置網に入ってしまったジュゴンの安全が確保できる対策(改良)が取れませんよね・・・
研究者の間では「定置網が悪い」「(漁業者が不幸にならない形での)定置網の停止を」などの主張もあります。
しかし、私は海に詳しい海人(漁業者)と協力して対策しないと、現実的にジュゴンの保護繁殖は無理であろうと思っています。
今年8月に発売された「ジュゴンの上手なつかまえ方」でも、漁業者とジュゴン保護とのジレンマについてのお話があります。
(網で死ぬメカニズム、また、海外では「網を壊す害獣」と言われる理由についても、参考になります。お勧め書籍です!)
●リンク:amazon「ジュゴンの上手なつかまえ方」
県パンフレット「ジュゴンのはなし」でも、ジュゴンレスキューマニュアルが記載されています。
これは県と既存のジュゴン保護団体との協力のうえで作られたとのことで、大変良い取り組みだと思います。
一方、「定置網でジュゴンが死ぬメカニズムの解明」とか、「定置網に入っても死なないような、定置網の改良」などをもっと検討する必要があると思うのです。
ジュゴン死なない構造の定置網なら、引き上げ時にジュゴンが入っていないか注意するとか、ジュゴンが入ってしまったならばジュゴンレスキューに基づいて逃がしてあげればいいだけの話です。
弱ったジュゴンが定置網に逃げ込んで、そこで命尽きるのかなど、はっきりすると思います。
ジュゴンの保護・繁殖対策を進めるうえでは、定置網漁業を含む漁業者との協力関係が確実に必要となります。
専門家や研究者、国や県、漁業関係者が集まって問題点を整理し、ジュゴンの保護繁殖を検討する機会を設けてほしいと思います。
ジュゴン保護・繁殖対策が飛躍的に前進する?!
●沖縄のジュゴンの保護・繁殖について
え?仲井眞氏がジュゴン繁殖を公約に??その真相とは
http://odsog.ti-da.net/e6904769.html
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ブログの管理も大変なので、コメントは付けられない設定になってしまっておりますが、何かありましたらフェイスブックページにてコメントをお寄せいただければと思います。
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「重要なおねがい。」もあわせてご覧ください。
ご協力よろしくお願いいたします。
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